記録的な暑さが続くこの夏、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
ここ京都でも地震、台風、大雨、猛暑と目まぐるしくて落ち着かない日が続いています。
少し前になりますが、京都の東福寺で座禅と写経の体験をさせていただく機会に恵まれました。観光スポットしても人気が高いので体験レポートともにご紹介いたします。
臨済宗東福寺派の本山である東福寺は、鎌倉時代に建立された歴史の深い寺で、重要文化財に指定されている数多くの建造物、園庭があり見どころが満載です。 ことに紅葉に関しては京都でも随一と言われている名所。シーズンには多くの観光客でにぎわいます。
東福寺本堂
東福寺三門(国宝)
東福寺案内図
座禅を行う禅堂も重要文化財に指定されています。
東福寺禅堂外観
昼過ぎのこともあり、禅堂の中に入っても暑さはおさまらず、中々吹き出す汗が止まりませんでした。 僧侶の方から座禅の作法や姿勢の説明があり、どらのような鐘の合図で座禅が始まりました。
座禅は仏教、禅宗の修行の一つで中核をなすものです。 調身、調息、調心と言われ、姿勢を正し、呼吸を整え、精神統一することで、仏の悟りの境地を自己に表現しようとします。 一般の私たちも座禅を行うことで、心を整え、精神を集中する力が身につくと言われます。
臨済宗では壁を背にしてあぐらをかきます。 結跡朕座といって両方の脚を組むか、片方の脚だけを組む半跡跣座をとります。組んだ脚の上に右の手のひらを上にして載せて、左手をかさねます。
背筋を伸ばし、体を左右、前後に揺らして安定した姿勢に整え、半眼(目を半開きにして1メートルほど先を見る)で丹田に意識を集中させ静かに複式呼吸します。
そして呼吸を繰り返す中で無念無想に近づいていきます。
ですが、人間そう簡単に無心にはなれず、色々な考えが湧いてきます。
座禅の最中に、邪念が入り集中できない時は、僧侶から警策(けいさく)と言って、背中を打ってもらいます。
僧侶が自分のところで足を止めたら、右手を床に付き体を前に傾けます。 背中を打たれる音が静まったお堂に響きます。 もっと軽くたたくと思っていたのですが、結構な強さで正直痛みも伴います。 打たれた背中がじわじわ暖かくなり、体に広がっていくのが感じられます。 そうしていると、少し頭が空になっている気がしました。 あれ程の暑さや汗もどこかにいってしまったようです。
写経は別のところで行われるため、移動しました。途中、「東福寺三名橋」の一つである「臥雲橋」(重要文化財)を渡りました。
渓谷に架けられた木造の橋で、川のせせらぎ、緑に覆われて涼しさを味わえます。 紅葉の時季はもちろん絶景なのですが、緑に覆われたこの時季もなかなかなものです。 人が少ないのが何よりですね。
写経を行う勝林寺に到着しました。ハスが大きく葉を広げお出迎えです。
写経は仏教の経典を書写することを言います。当初は経典を伝承する手段として始まり、修行として行われるようになったとのことです。
墨を擦り、お手本を見ながら書くのかと思いきや、般若心経が書かれたお手本の上に、半透明の紙が重ねてあり、その上を筆ペンでなぞって書く、初心者にはありがたいスタイルでした。
初心者に易しいとはいえ、一文字一文字丁寧に書こうとすると時間がかかります。その集中する時間には何事も考えず呼吸だけを感じて無心になると感じました。
書き終えてほっと一息、お菓子とお薄をいただきました。
書き上がりはこんなになりました。まだまだ修行が足りませんね。
普段の暮らしの中では、じっくり静かに集中する時間を持つ機会はあまりないものですね。だからこそ座禅や写経のような、精神を統一し、自分と向き合う時間を設けると心が落ち着いてくるのではないかと思います。 今回はほんの体験でしたが、ざわついた気持ちが少し落ち着いたと感じました。
京都には、東福寺の他にもこのような体験ができるところが多くあります。 皆様もこのような時間をもって、心安らかになっていただければ幸いです。
まだ暑い日が続きます。どうぞご自愛お願いいたします。