今月9月7日、8日、京宿うさぎにて、「KOUGEI EXHIBITION "JOURNEY" 工芸を旅する展覧会」が催されました。 ICOM(国際博物館会議)2019の京都開催を記念して、「工芸」にスポットを当てた4つの特別展を一つの施設で開催したものです。 2日間ともお天気に恵まれ、約500名の来場者で、京宿うさぎ内の各会場が大いに賑わいました。
初日には、KBS京都の情報番組「キモイリ」で、生中継が入り、タレントのやのぱんさんに、展覧会と京宿うさぎをご紹介いただきました。
JOURNEY展は、KYOTO KOUGEI WEEK のプロジェクトのひとつとして実施され、今回、京宿うさぎ本館の4つのお部屋が、それぞれの特別展覧会の会場となりました。
それぞれの主催は、
「お庭」 京もの認定工芸士会「響」
「お空」 SOO -ソマル-
「お山」 京都陶磁器協同組合連合会
「お池」 京都工芸美術作家協会
それでは、各会場をご案内しましょう。
まず、表玄関から入って右手にある「お庭」です。
京都府では、未来の伝統産業を担う若手職人の中で、特に技術に優れ、意欲あるものに対し"京もの認定工芸士"の称号を授与しています。 その中でも積極的に活動する '京もの認定工芸士会「響」'の有志が、京都のほんまもんの技を間近で体感してもらいたいと、高度な技術で作られた工芸品とその「技」を紹介しました。
京竹工芸の制作実演
伝統的な道具の「花籠」各種、現代の生活にマッチする「竹籠バッグ」を展示
京印章の制作実演の他、カラーのろうを溶かして、印章を押す「封ろう(シール)体験」も楽しい
京友禅ぼかし染めの風呂敷 色むらのないグラデーションが美しい
法衣をつくる金襴織物で小物を展開 見る角度で模様や色が違って見えるのが特徴
神祭具の神棚と折敷の展示 柾目(まさめ)がうつくしい
様々な意匠が、豊かな色で絵付けされた京焼・清水焼は京都工芸の代表格
仏具のおりんを日常に すーとのびる良い音色は伝統の技術ならでは
手描き友禅のパネル 涼やかで優美
図案から染めまですべて一人で手がける
錺(かざり)と呼ばれる繊細な金属装飾加工
仏具、神輿、建築金具など多岐にわたり使われ、舞妓さんの帯留などの装飾具にも活かされている(写真は香合)
箔を使った京扇子 古来、舞台や神事で「祈り」の表現として使われている
京漆器のお箸 螺鈿のアクセントがかわいい
京たたみ ミニたたみは敷いたり、飾ったりして楽しむ
金箔で包まれた七福神、関守石と小石 金箔を接着させる技術を箔押という
ねこのミモロちゃんも熱心にお話しを聞いていた
竹のインスタレーション バスルームに異空間が出現
京銘竹のボトルスタンドは何度見ても不思議
京友禅金彩加工 ボトルスタンドの金彩加工実演とアートパネルの製作体験
では、次の会場へ
表玄関からまっすぐ進み、階段を上がった「お空」です。
"SOO -ソマル-"は、着物の需要が減る中、身近なアイテムで京友禅の良さを知ってほしいと、染屋4社が共同で手がける京友禅ブランドです。 メガネ拭きの「おふき」、スマートフォン用「おふきmini」に続いて、第3弾のタブレットパソコン拭き「OKKIおふき」の新作発表会が行われ、普段は見られないSOOの世界観がたっぷりと表現されていました。
現代アートとのコラボが斬新
普段手がけている友禅染の美しい着物も展示
多彩な色、様々な図柄のおふきは、京友禅の魅力が詰まった持ち歩けるアート
メガネ拭き「おふき」 着物と同様に絹に手染めする
着物を包むたとう紙でパッケージ
スマートフォン用「おふきmini」
今年「全国推奨観光土産品」に選ばれ、新感覚の京都土産として広まりつつある この日も人気を博した
初お披露目 タブレットパソコン拭き「OKKIおふき」
京都各所で順次販売予定
染色道具、DVDなどを見ながら、着物姿でご説明
おふき-あやにしき- 手描きの1点もの
もったいなくて拭けません。
英字フリーペーパー"THE KYOTO Vol.9"の表紙を飾る「おふき」
京都市内各所で配布中
続いて、会場「お山」へ
京都陶磁器協同組合連合会が、煎茶やほうじ茶など日本茶を愉しむを題材に、京焼・清水焼を紹介。 急須やポット、煎茶碗などアイテムを絞って展示し、技法やジャンルを紹介する初の試みです。
日本茶の講師を招いて、お茶の淹れ方セミナーも開催されました。
玄関ホールでは、花と「謝茶」の書でお出迎え
一階和室の展示
彩色が鮮やかな雉
祥瑞急須 様々な文様が楽しい
お気に入りのお茶のセットを持って旅に出かけよう
あらゆる種類の急須がずらり
坪庭にも陶器の灯籠
藤の盃 おしどり香合
龍が描かれた花瓶
バスルームになんとお茶碗が!
ベッドの上にもカラフルな器たち 校庭で子供が遊んでいるよう
日本茶の美味しい入れ方をレクチャーするティーセミナーは大人気
先生の軽妙なトークで楽しさ倍増
最後の会場「お池」へ
京都工芸美術作家協会は、70年以上の歴史を持つ、京都を中心に活躍する工芸作家 約350名を有する団体で、日本の工芸美術界をリードする多くの作家を育んできました。
今回は "Happy KOGEI Hour" と題し、次代を担う12名の作家が、陶芸、漆芸、染織、金工、ガラスなどの作品を出品し、京宿うさぎのお部屋をアート空間に変えました。
12名の出展メンバー紹介パネル
陶芸 壷 大きくどっしりとした風体
玄関では陶芸のカエル、漆芸のオブジェ、金工の香炉がお迎え
真ん中は赤いうさぎのよう
廊下の曲り角には、陶器の馬と漆の白うさぎ
坪庭では、金工のモモンガ、陶器の猫
モモンガは宝石のアクアマリンを抱いている
1階和室の展示
(上)青瓷の器 (左)漆の大皿 (右)染色の反物
(上左)乾漆小箱 満天の星空
(上右)水晶のオブジェ 赤富士が浮ぶ
(下左)陶器器 民芸玩具の鳩車形
(下右)青瓷水指 透明感のある青色
ガラスに漆を焼き付けた作品
陶器 海の底を思わせる深い青に引き込まれる
金や銀箔の糸を使ったアクセサリーは軽やか
陶器のオブジェ、漆のパネル
バスルームがアートギャラリーに変身
2階に上がってみましょう。
梁がみえる高い天井に、染織の傘の花が咲く
玉虫色に輝くガラスの皿、漆の香合、振り出しが並ぶ
手描き友禅の着物 薔薇の図案が華やか
漆のオブジェ、小箱 フォルムが美しい
ランプの灯りに照らされ、漆、陶器、ガラス、錫、様々な盃がならぶ
happy hourには佐々木酒造様にご協賛頂き、日本酒が振る舞われました。
それぞれ好みの盃で味わう趣向
皆笑顔 パーティーのような楽しい時間が過ぎ
こうして2日間の展覧会は無事に幕を閉じました。
ご来場のお客様、お越しいただきありがとうございます。愉しんでいただけましたでしょうか。
ご出展の皆さま、ありがとうございます。 素敵な作品、演出でいつもと違う うさぎの魅力を見せていただきました。
展覧会を企画された'KYOTO KOUGEI WEEK の皆様、会場に選んでいただきありがとうございます。
皆々様のおかげで、集い、笑い、語らう、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。
きっとまたここでお会いしましょう。