今年は暖冬で寒いのが苦手な私には有難い気候です。皆さまはいかがお過ごしでしょう。
もうすぐ節分ですが、京宿うさぎにも近い壬生寺での節分行事をご紹介いたします。
壬生寺は御所から見て南西(裏鬼門)に位置し、節分のお祭りをして鬼を封じるという意味があるそうです。因みに表鬼門は吉田神社でこちらも賑やかにお祭りが行われます。
今回は、壬生寺の行事「節分会(せつぶんえ)」で公開される「壬生狂言」についてです。
壬生狂言は、正しくは「壬生大念佛狂言(みぶだいねんぶつきょうげん」と言い、昭和51年に国の重要無形民俗文化財として、京都府下では第一番に指定を受けています。
壬生寺は、境内の壬生塚に新選組隊士が祀られていることで有名ですが、「壬生寺のカンデンデン」と親しまれる、伝統芸能「壬生狂言(みぶきょうげん)」も大変人気が高く、年に3回ある公開時には数多くの方が訪れ、屋台の出店とお参りの人で溢れかえる大賑わいです。
壬生狂言の始まりは、鎌倉時代に勧善懲悪・因果応報という仏の教えを分かりやすく伝えようとしたもので、なんと700年以上の歴史があります。
すべての演者が仮面をつける無言劇で、鉦(かね)や太鼓、笛の囃子(はやし)に合わせて身振り手振りで演じます。
衣装や道具も京の伝統工芸の技が活かされたものが多く、思わず見入ってしまいます。
この壬生狂言を演じているのは、「壬生大念佛講(こう)」の方々です。いわゆるプロの方ではなく、会社員、自営業などの本職をもち、小学生から70歳台の長老まで、おもに地元に居住する方々で、地元の伝統文化を伝承しようと修練を積んでおられます。「衣裳方(かた)」と呼ばれる衣裳の着付担当以外は全員が男性です。
節分会では、昇殿特別祈祷、お練り供養、大護摩供養、厄除け護摩祈祷、星祭などが執り行われますが、面白いのは、炮烙(ほうらく)という素焼きのお皿を購入して、願いごとなどを書いて奉納する独特の風習があるのです。
この炮烙は、4月に行われる壬生狂言の序曲「炮烙割(ほうらくわり)」の中で割られ、奉納者はその年の災厄を免れて福徳を得られると伝わっています。1回の上演ごとに1000枚ほど割られるのですが、その豪快な割れっぷりには胸がすきます。
壬生狂言は、庶民に娯楽として親しまれたために 、現在でも30の演目が残っていて、毎年上演されています。
節分会では、厄除・開運を祈願して、壬生狂言の「節分」という題目だけが1日8回繰り返して上演されます。
春と秋の公開は有料ですが、この節分の公開は無料なんです!
招福ぜんざいも無料で配られてお得感満載です(午前十時から、先着1000人)。
壬生狂言の演目「節分」のあらすじは、
節分の日に夫を亡くした女が、厄を払うまじないをかけてもらう。
その後、打ち出の小槌を使って人間の姿に化けた鬼が女へ近づく。
女を喜ばせようと、鬼は打ち出の小槌で美しい着物を次々と出していく。
それに女は喜んで、宴を開いて鬼に酒をすすめる。
鬼は酒をたくさん飲み、やがて酔いつぶれてしまう。
鬼が酔いつぶれている隙に、女は打ち出の小槌を奪い、鬼の着ている着物まで剥ぎ取る。
女に鬼だと正体がばれてしまう。
仰天した女の悲鳴に、鬼は驚いて目を覚ます。
鬼は全て無くなったことに怒り出すが、女は鬼の嫌いな豆をまいて鬼を追い払う。
鳴り物の音も楽しく、動きもユーモラスで笑いを誘う狂言なのですが、
「鬼 (病気、災厄や貧困など様々な不幸)を招く甘い誘惑に負けずに、マメ(まじめに、こつこつ)に働くことによってこそ、福徳は得られるものである」
という教えを伝える狂言だそうで、ユーモラスな表現の中に深い教えがあるのですね。
大人気の壬生狂言ですが、鑑賞のルールがあります。
写真も動画も撮影禁止なのです。
撮影してインスタなどに・・はと思う気持ちはやまやまですが、ここは気持ちを切り替えてじっくりと舞台に楽しみましょう。
雨の日の露天の客席では傘が邪魔になるので是非、雨合羽のご準備を。
今年の壬生狂言の日程、上演時間は、
2月2日(土)、3日(日)(壬生寺節分会は2日~4日)
両日共に13時~20時まで、毎時0分に開演です。
上演時間は約40分で、入れ替え制です。
詳しくは、壬生寺のサイトなどでご確認ください。
700年の長きに渡って、土地に根差し、途切れず続いてきた壬生狂言は、ずっと愛されてきた存在ですね。
皆さまも是非その魅力を味わいにどうぞお越しくださいませ。